注文住宅の間取りにおいて必ずと言っていいほど大きなテーマになるのが「キッチン」ですよね。
毎日の食事づくりからちょっとしたティータイムまで、キッチンにいる時間は想像以上に長いもの。
だからこそ、見た目だけでなく動きやすさや快適さにこだわった間取りにしておきたいところです。

そこで今回は「方角・広さ・窓・収納・近くにあると便利な部屋」という5つの視点から、キッチンの間取りの決め方をたっぷりご紹介します!
後から「狭かった…」「収納が足りない…」「光が入らない…」と後悔しないよう、ぜひじっくりと読んで参考にしてみてくださいね。
キッチンの間取りの決め方【方角】
キッチンを配置する方角によって光の入り方や気温、湿気の感じ方が大きく変わります。
キッチンは作業する時間が意外と長い場所ですので、「どんな時間帯にどんな使い方をするか?」をしっかり考えて決めていきましょう。
東向きキッチン

朝日が差し込み、気持ちの良いスタートが切れるのが東向きキッチン。
毎日お弁当を作ったり、朝ごはんをしっかり食べるご家庭におすすめです。
午後は暗くなりますので照明計画はしっかり行いましょう。
西向きキッチン

午後から夕方にかけて西日が綺麗に差し込むのが西向きキッチン。
夏場は特に日が長いので、明るい雰囲気の中で夕ご飯の準備をしたい方におすすめ。
ただし西日の直射日光はかなりきつく料理の邪魔にもなるので、カーテンやブラインドで優しく光を取り入れる工夫をしましょう。
南向きキッチン

午前中から夕方にかけて安定した明るさが魅力の南向きキッチン。
日中おうちにいることが多く、お昼ご飯を作ったりティータイムを楽しむことが多いご家庭におすすめ。
日中、窓の大きさや配置によっては照明に頼らなくても作業がしやすい点が魅力です。
その反面、夏場には室温がぐっと上がりやすいため冷房対策が必須になります。
北向きキッチン

自然光はあまり期待できませんが、しっかり照明計画をすることで安定した明るさが魅力となる北向きキッチン。
西日や直射日光を気にせず、落ち着いた雰囲気の中で作業したい方におすすめです。
夏も冬も室温が安定しやすく、野菜やお菓子などの食材の保存にも向いています。
キッチンの間取りの決め方【広さ】
次に考えたいのはキッチンの「広さ」です。
キッチンは広ければ広いほど快適というわけではなく、家族構成を考慮して使い勝手と動線がしっかり計画された広さがベストです。
コンパクトなキッチン(3〜4畳程度)

コンパクトなキッチンは導線が短く家事の時短につながるので、忙しい共働き夫婦や料理頻度がそこまで高くないご家庭にぴったり。
数歩歩くだけで冷蔵庫から食材を取り出し、調理して、お皿に盛り付けるといった一連の動作が完結します。
キッチン自体はコンパクトでも、ダイニングスペースと一体化することで配膳や後片付けもスムーズになります。
さらにお家全体がコンパクトな場合、リビングなどの他の部屋にスペースを割けるというメリットもあります。
標準的な広さのキッチン(5〜6畳程度)

標準的な広さのキッチンは、使い勝手と開放感がちょうどいいバランスです。
2人以上で調理してもそれほど窮屈さを感じないため、ご夫婦で分担して効率よく食事の準備をすることができます。
お子さんと一緒に料理を楽しむのも良いですね。
対面式も可能な広さなので、憧れのカウンターキッチンやペニンシュラキッチンを採用してリビングやダイニングとの一体感を出すことも可能です。
ゆったり広めなキッチン(7〜8畳以上)

ゆったり広めなキッチンはアイランドキッチンやL字型キッチン、広い作業台、大容量のパントリーなど憧れの仕様を取り入れることも可能なまさに夢が広がる空間です。
キッチン自体に家族が集まれるようなダイニングスペースをつけたり、バーカウンター風にしたりとコミュニケーションの場としても大活躍。
家族が多いご家庭だけでなく、料理が趣味で友人を招いて食事を楽しみたい方にもおすすめ。
ただ食事の準備をする場所というよりも「キッチンで暮らしを楽しみたい」というご家庭にぴったりです。
キッチンの間取りの決め方【窓】
キッチンの間取りを考える上で『窓』も重要なポイントになります。
キッチンに窓を設けると採光や換気など様々なメリットがありますが、同時にデメリットも考慮する必要があります。
メリット・デメリットの両方を把握した上で、窓の種類・大きさ・位置などを慎重に検討し、バランスよく配置していきましょう。
キッチンに窓を設けるメリット

- 自然光で明るい空間に
- 開放感が生まれる
- 換気がスムーズ
- 外の様子を確認できる
- 風景を楽しめる
- 自然光で明るい空間に
-
自然光をうまく取り入れることでキッチンが明るく快適な空間になります。
日中の照明の使用量を減らすことができるので、電気代の節約にも◎ - 開放感が生まれる
-
窓があるだけで視界が広がり、開放感を演出することができます。
特にコンパクトなキッチンでは視覚による空間の広がりが重宝します。 - 換気がスムーズ
-
換気扇と併用することで料理中に出るニオイや煙を効率的に外へ逃がすことができます。
こまめに空気を入れ替えることで湿気がたまりにくくなり、カビや結露対策にもなります。 - 外の様子を確認できる
-
キッチンに窓があると、料理中でも天気や時間帯の変化に気づきやすくなります。
玄関やお庭に面した間取りなら家族の帰宅にすぐ気づけたり、お庭で遊ぶ子どもの様子を見守れたりと何かと便利です。 - 風景を楽しめる
-
キッチンの窓からの眺望が期待できる場合、料理をしながら自然や季節の移ろいを感じることができます。
毎日の料理の時間が心和むひとときに変わるのはとても素敵なことですね。
キッチンに窓を設けるデメリット

- 収納スペースが減る
- 掃除の手間が増える
- 外からの視線や防犯面が不安
- 室温の上昇や食材の傷み
- 断熱性がやや低下する
- 収納スペースが減る
-
窓を設置すると壁の面積が減るので、収納家具や食器棚などを配置できるスペースが限られます。
収納計画をよく考えないと物がしまえなくなる可能性も。 - 掃除の手間が増える
-
キッチンの窓は油はねや水はねで汚れやすく、こまめな拭き掃除が必須に。
カーテンやブラインドも汚れやすくなるので定期的なお手入れが必要になります。 - 外からの視線や防犯面が不安
-
キッチンが人通りの多い道路や隣家に面している場合、外からの視線対策として窓をすりガラスにしたりカーテンやブラインドの設置が必須になります。
逆に人通りのない面している場合には防犯対策が必要です。 - 室温の上昇や食材の傷み
-
特に夏場、窓から入る光はキッチンの室温を上げ、食材の傷みを早めてしまいます。
直射日光が入ると料理の邪魔にも…。南や西向きの窓や大きな窓は注意が必要です。 - 断熱性がやや低下する
-
窓は壁に比べて断熱性が落ちるため、窓が多ければ多いほど、大きければ大きいほど寒さや暑さを感じやすくなります。
《番外編》キッチンに勝手口って必要?

キッチンの勝手口はゴミ出し・食材の運び入れ・庭へのアクセスなどに役立つ便利な出入り口です。
ですが、窓以上に収納スペースの制限や防犯面のデメリットが大きくなりますので、間取りや生活スタイルに合わせて暮らしが格段に便利になる場合のみ採用しましょう。
キッチンの間取りの決め方【収納】
キッチン収納にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴や適した使い方があります。
- 収納量はどの程度必要か
- どんな収納を採用するか
- 何をどこにしまうか
- 憧れをとるか利便性を取るか
などなど、しっかり考えて決めていきましょう。
システムキッチンの収納

シンク、コンロ、調理台などが一体化されたシステムキッチンの収納。
- 大容量
- スライド式で開閉がスムーズ
- 奥の物まで見渡しやすい
- 頻繁に使う物の収納に◎
- 調理器具・調味料・消耗品などを分類して収納できる
- 食洗機を採用すると収納力が落ちる
- 大きな鍋や調理器具は入りきらない可能性も
吊戸棚(つりとだな)

キッチンの上部に取り付ける収納スペース。
高さがあり出し入れしにくいのがネックですが、近年では手動や電動で昇降できるタイプもあります。
- 上部のデッドスペースの有効活用に◎
- 使用頻度が低い物の収納に便利
- 隠す収納でキッチンがスッキリ見える
- 昇降タイプもあり
- 高さがあるため出し入れが大変
- 収納したものを見渡しにくい
備え付けのカップボード(食器棚)

システムキッチンの背面やサイドに設ける備え付けの収納。
カウンターのみ、吊り戸棚付き、壁一面タイプなど様々なタイプがあります。
- 大容量
- 作業スペースが増える
- ごみ箱や調理家電の収納にも◎
- キッチンとデザインを統一できる
- 窓と組み合わせておしゃれに
- ある程度のスペースが必要
- 価格がやや高め
- 整頓しないとごちゃごちゃしやすい
後から購入して設置する収納家具

食器棚・ラック・キッチンワゴンなどの収納家具は後から購入して設置することも可能です。
間取りを考える時点でどんなものを設置したいか、奥行きや幅なども考慮してスペースを開けておく必要があります。
- 買い替えや移動がしやすい
- サイズ・価格・デザインの選択肢が豊富
- 備え付けより安い
- 間取りにフィットするサイズを探すのが大変
- キッチンと色やデザインが合わず統一感がなくなりがち
- すき間ができてホコリがたまりやすい
- 地震の際に家具ごと倒れやすい
オープン収納(飾り棚)

扉を設けず、キッチンアイテムを“見せて飾る”タイプの収納。
カフェ風や北欧ナチュラルなど、インテリアにこだわりたい方に人気です。
- よく使うものをすぐに取り出せる
- 空間に抜け感が出ておしゃれな印象に
- キッチンアイテムだけでなく雑貨やインテリアも楽しめる
- ホコリや油汚れが付きやすい
- おしゃれに見せるにはセンスが必要
- 生活感が出やすいので整理整頓を常に意識する必要がある
- 地震の際には物が落下する可能性大
パントリー(食品庫)

キッチン近くに設ける食品・日用品ストック専用の収納スペース。
ウォークイン型や棚だけのコンパクトなタイプなど、間取りに応じて設置可能です。
- 食品や日用品を大量にストックできる
- キッチンまわりがスッキリ片付く
- 災害時の備蓄スペースとしても◎
- 間取りに余裕が必要
- 奥にしまった物が埋もれやすい
- 換気や湿気対策が必要な場合も
床下収納

キッチンで目にすることが多い、床面を開けると現れる隠れ収納。
収納部は取り外しが可能で、床下点検口を兼ねています。
床下収納のフチはわずかな段差になっており、毎日歩く場所にあると意外と気になります。
必ずしもキッチンに設置する必要はありませんので設置場所はよく検討しましょう。
- 普段使わない物の保管に最適◎
- 床下のデッドスペースを有効活用
- 備蓄水や非常食のストックにも便利
- 毎回かがんで開けるのが大変
- フチのわずかな段差が気になる
- 一度収納したら忘れがち
- 隙間から細かいゴミが入る
キッチンの間取りの決め方【近くにあると便利な部屋】
最後にキッチンの近くにあると便利な部屋についてご紹介します。
キッチンの近くにどんな部屋を配置するかによって日々の暮らしやすさが大きく変わります。
リビング・ダイニング

家族のコミュニケーションが取りやすい
→ 特に対面キッチンなら家族とコミュニケーションが取りやすいです。
配膳・片付けがスムーズ
→ 食事の用意や後片付けが最短距離になり、無駄な動きが減ります。来客時にもすぐにお茶菓子が出せて便利◎
子どもの様子を見守れる
→ 小さいお子さんがリビングで遊んでいても目が届くので安心。
テレビや音楽を楽しみながら家事ができる
→ 家事が単調にならず、料理の時間が楽しくなります。
洗面・脱衣所などの水まわり

家事動線が短くて時短になる
→ 料理・洗濯・お風呂の準備など同時発生する家事がまとめて完結しやすく、家事ラクに。
お風呂の声掛けや見守りがしやすい
→ 料理をしながらでも家族がお風呂に入っている様子を見守りやすく安心。
収納を1ヶ所にまとめられる
→ キッチン・洗面・洗濯まわりの消耗品やタオル類を1ヶ所にまとめる間取りも可能に。
水まわりの配管が短くて済む
→ 水まわりを近くにまとめると配管が短くて済むので、設備コストを抑えやすくなります。
玄関

食材や日用品をすぐにキッチンへ運べる
→ 買い物から帰ってきて、すぐに冷蔵庫やパントリーに収納できるのはとても便利です。
ネット注文もラク
→ 消耗品や飲料のケースなど、ネット注文した重たい荷物もキッチンへの運搬がラクに。
ゴミ出し動線が短くなる
→ 勝手口がなくても、玄関からさっとゴミ出しが可能です。
宅配や来客対応をしやすい
→ 玄関が近ければ料理中でも宅配や来客にすぐ対応できます。
まとめ
いかがでしたか?
キッチンの間取りで後悔しない秘訣は方角・広さ・窓・収納・動線など、さまざまな視点からじっくり計画することです。
「動線や使い勝手」はもちろん最重要ですが、キッチンは「憧れや好み」も毎日の料理の時間を楽しくする大切な要素となります。
利便性も見た目の良さも程よく取り入れながら、理想のキッチンを実現させましょう。
キッチンの快適さは、料理の楽しさや家族の笑顔につながるはずです。
ぜひ今回の視点を参考に、あなたらしく使いやすいキッチンを作ってみてくださいね。
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